土地の価値について

住宅敷地の特徴を9種類のケースにカテゴライズし、それぞれ考察しています。

    

  

 傾斜地

コラム

古家付き地

変形地

傾斜地

分譲地

狭小地

旗竿地

角地

都心地

細長地

広大地

 

case1(角地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「角地」です。
道路がニ方向で面するということは接道部分が広いということです。
接道部分が広いということは、
・車を停めやすい
・道路からの視線にさらされやすい
・採光や通風の面では有利
又道路の交差部に位置するということはその道路の安全性にも配慮しなければいけません。建築基準法上は建ぺい率の緩和を受けられます。

まずは、敷地の広さや方位を考慮し、二方向の道路との付き合い方を探ります。敷地が広ければ建物を道路から十分離す事を考えられます。狭小地で日照環境の良い南側に道路が接しているのであれば、道路の広さや明るさを内部空間として感じられるように開口部を設け、同時にそこからの視線を防ぐことが設計上求められる基本要素となります。リビングやダイニングの開口部、庭と道路との関係にその要素は反映されます。単純に生け垣で道路からの視線を遮ったり、上階にリビングやダイニングを配置する事で解決することもできるでしょう。遮る事によって閉鎖的にならず、開放する事によって明け透けにならない按配により角地の価値は高まります。

​プランを作成

北側と東側の二方向で接道している角地敷地を想定します。
敷地面積は10m×13mで40坪程の広さです。

通行量の少ない東側の道路に面して玄関を、駐車のしやすい北側道路に接して駐車場を設けます。北東の角を地域に開放するようにしつらえ、距離の間近な東側の道路とは壁を立て、玄関と駐輪スペースを隠すようにします。南側は道路からの視線を遮りやすいので庭と一体的となる開放的なリビングが配置できます。

ハレの空間とケの空間を分けるのには玄関がもっとも適しています。南に配置されるLDと北側に配置される水廻り諸室を動線として分けるには建物の真中に玄関があるのが好ましいといえます。北側の水廻り諸室は敷地北側の駐車場を利用し、視線を遮りながら通風を確保するように開口部を設けます。南側のリビングダイニング空間はデッキを介して、庭と一体化するように開口部を設定します。

 

LD上部は階段を含んだ吹き抜けとなっており、二階の各個室はその吹き抜けに面するように配置します。寝室の東には大きなデッキを設け、道路側からの視線を遮ると同時に玄関および駐輪場の屋根とします。室内空間と外部空間はさまざまな関係で関わり合います。庭とリビングのように一体化が望ましい関係、勝手口と公共道路のように遮蔽性が重要となる関係。更には方位や隣地との関係といった要素もくわわり複雑化します。それらを俯瞰して、どの部分を遮り、そして開放するかというさじ加減で全体のバランスを整える事は住宅設計の重要なポイントです。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事をつくる空間に大事な要素のひとつに「隠したいものは隠せるように」ということがあります。

 

収納扉を設置について考えてみます。開閉方式にはドア、引戸、抽斗、そしてはねあげ戸があります。それぞれに特徴があり、ドアは開けることで全ての収納物が見渡せますが自体の開閉スペースが必要です。引き戸は開閉するスペースは必要ありませんが収納スペースの半分しか見ることができません。ハネ上げ戸は高いところの収納に向いており、下から使う収納に向いていますが大きな扉を作ることが難しいです。反対に抽斗は上から使う収納です。腰より下は抽斗が良いでしょう。キッチン側からしか見えない場合は建具をつけない選択肢もあります。収納物が全て見渡せるので、建具をつけた収納棚よりも使いやすいといえます。

 

対面式のキッチンの場合、リビングと繋がると同時にリビング側からの視線を意識する必要があります。それにはコンロの前に壁を立ち上げ、防炎の意味を持たせると同時にリビングからの視線から隠します。カウンターの高さは、手元をどこまで隠すかによって決まります。シンクとの一体性を考えるのであれば低めのカウンター、洗剤や食器洗いシンクの上においてあるものを隠すのであれば高めのカウンターが良いでしょう。

 

隠すところと空間として繋がるところをきちんと整理すればとても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

 


これまで角地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「開口部」 について考察してきました。開口部を設計するということは外からの視線を遮り、外への視線を解放することをコントロールするということです。キッチンでも同様に、収納の中身を隠す事と見やすさは同時に考慮しなければならないことです。

水まわりの配置からプランを分析

次に、角地での提案プラン(3.5間×4間)を水まわりの配置の観点から分析します。玄関は東側で建物間口は4間です。東に玄関があり、南の庭に向けてリビングを配置し、北側に水まわりをまとめ、一階と二階は直線階段でつなげています。水まわりの構成は、対面キッチンをリビングダイニングへ向け、玄関からの裏動線沿いにWCや洗面、浴室を配置しています。

このように配置すると、外部空間とリビングダイニング、キッチンが一連でつながり、水まわり動線も簡潔にまとまります。またリビングダイニングから遠ざけることができ、トイレの入り口なども隠しやすくなります。半面、水まわりが集中する範囲には大きな開口部が設けにくいため通風の工夫が必要となります。

 

角地での提案プランは水まわり動線をコンパクトにまとめることを優先した配置です。

考察のおわりに

これまで「角地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。


キーワードは「開口部」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case2(狭小地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「狭小地」です。
一般的に都市部の住宅地は狭小地であることが多く、京都などでは間口も狭い。
敷地面積が狭いということは
・建てられる建物の床面積も小さくなります。
・隣家が迫って建てられていることが多く、日照条件や風通し、建物内部からの景色も望めません。
・土地単価の高い地域でも土地面積が小さい分価格を抑えられます。

小さい敷地に家を建てるには室内空間を狭く感じないようにする必要があります。3階建てや地下室を造るのは実面積を広げるのに有効です。隣地に少しでも空の見える方向があれば、その方向に開口部を設け風通しや日照を確保すると共に室内空間が広く感じられるようにします。必要最小限の間仕切りとし、奥まで見通せるようにするだけでも広さを感じることはできます。スキップフロアーで高さ方向に緩やかに仕切る方法も良いでしょう。2畳位の部屋を設けることで残りの空間が広く見えるという手法もあります。狭小地に住むということは狭さを楽しさに変える工夫が大事なのです。

プランを作成

西側に道路と接道している狭小敷地を想定します。
敷地面積は10m×7mで21坪程の広さです。

小さな敷地には小さな家が似合います。なるべく小さく建て、周辺の敷地を室内に取り込むように設計すれば広々とした家になります。接道側の西側に玄関や駐輪場、駐車場を配置し、南の庭を確保して敷地北東角に建坪7.5坪で3階建てのプランとします。駐輪場と玄関ポーチの上部に庇となってかかるようにベランダも想定しておきます。

 

一階は台所とLDとします。来客の為の手洗いやWCは小さな家でも食事をするスペースからは隔離するように心掛けます。階段下のスペースを利用した玄関収納は玄関土間と一階床高さのレベル差を利用して実現しています。車の駐車スペースを斜めにすると敷地に奥行きが生まれるので、干渉する建物南西角を削って階段の形状をU字としています。
この部分は建物外観のポイントともなるでしょう。

 

 

二階は夫婦の寝室と浴室などの水廻りを配置しています。階段廻りを広く感じさせるために、三階に続く小さな吹き抜けを設けそこに上階まで続く縦長の開口部を配します。また階段スペースの隣に洗面台を設け、脱衣場と分離することで利便性を高めます。脱衣室はクローゼットと一体化させ、洗濯機も一緒に置きます。浴室からは物干しベランダに出ることが出来、浴室の狭さの解消とともに、洗濯家事動線を一つにまとめています。更には洗面台の横に浴室と繋がる開口部を設ける事で、二階の空間が風通し良く緩やかに繋がるようにしています。

 

 

三階は子供部屋二つとトイレ、クローゼットを配しています。少し階高を低く設定し、屋根裏部屋のようにすると、建物全体のプロポーションもよくなるでしょう。どんな小さなプランでも、生活上分ける必要のあるところはきちんと分離し、そうでないところは一体空間とし、小さな空間を少しでも大きく感じるようにします。また、開口部の寸法や位置、間仕切り壁の厚みなどすべてのサイズを検討し、必要最低限の数値を導き出すことで細かな空間構成操作が可能となります。そのような丹精な設計の先には「楽しさ」や「驚き」をもった豊かな空間がひろがります。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに「各細部の寸法を正しく決める」ということがあります。

 

既製品のキッチン台の奥行寸法は65cmが一般的な寸法です。さらには一人分の作業スペースの幅として60cmは必要です。また、通路スペースとしては70cmが最低限の寸法です。それぞれの寸法は人間の作業性を基に決まる寸法なので、大きければ使いやすくなるわけではありません。奥行の大きすぎる作業台や通路は余計な動作を強要するものです。このことは収納の寸法にも当てはまります。奥行のありすぎる収納棚は,手前のものが邪魔になり、奥にしまってあるものを取り出しにくくします。

 

 

 

 


 

奥行きの狭い対面型のキッチンでは収納の奥行き寸法が制限されます。食器などを仕舞う収納では30cmほどが最適でそれ以上奥行きが深くなると手前の食器が邪魔で奥が使えません。大皿一枚の寸法を目安とすると良いでしょう。そのような奥行きの収納には、狭い通路で開閉の邪魔にならないように扉を設けず、棚だけとすると使いやすいでしょう。

作業したり、ものをしまったりするのに適切な寸法になっていれば、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

これまで狭小地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「正確な寸法」 について考察してきました。正しい寸法で設計するということは、人間が使いやすいように整えるということです。キッチンの各寸法もそれぞれの作業に合わせた寸法にすることが重要です。

水まわりの配置からプランを分析

次に、狭小地での提案プラン(3間×2.5間)を水まわりの配置の観点から分析します。玄関は西側で建物間口は2.5間です。西に玄関があり、南の庭に向けてリビングを配置し、一階と二、三階に水まわりを分散し、各階はU型階段でつなげています。水まわりの構成は、一階は玄関脇にWCと手洗、キッチンの作業台をリビングダイニングへ向けます。二階は脱衣室、浴室を、三階はもう一つWCを配置しています。

このような配置は設備を各階の居室と結びつけやすく、それぞれを適切な場所に配置することができます。使いやすさを優先し、洗面台を廊下に配置したりなど自由な構成が可能になります。半面、水まわりが分散するので家事動線が分断されることや排水音の対策が必要になります。
 
狭小地での提案プランはみずまわり空間の各居室とのつながりを優先した配置をしています。

 

 

考察のおわりに

これまで「狭小地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。

 

キーワードは「正確な寸法」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

 

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case3(旗竿地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「旗竿地」です。
道路から通路状にのびた土地と奥の土地をその形状から旗竿地と呼びます。
建築基準法上決められている接道距離(2m)を無理やり満足させた結果この様な敷地形状になるのです。
その特殊な形状により
・駐車スペースを確保するのが困難
・前面道路から距離が離れる為、静かな環境が得られやすい
・玄関の位置が通路の延長線上に決まりやすい

住まいというものは家単体だけではなく外部の環境も魅力的に整える事が大事です。


旗竿地の魅力はその通路部分にあります。
玄関にむかうまでの間をどのように演出するかという事です。雑木林を抜けるような雰囲気を造り、その先に玄関がみえてくるようにするととても良いでしょう。四季を感じられるような樹々で彩りを添えましょう。鳥や虫が集まって賑やかになれば益々楽しい「住まい」となります。

プランを作成

西側で道路に接道し、東西方向に旗竿が伸びた敷地を想定します。
敷地面積は旗竿部分を除き10m×10mで30坪程の広さです。

通路部分に駐車場と人の入り口を設け、パーゴラで覆い一部を屋上緑化します。これで敷地の入り口を際立たせることで漠然としがちな、旗竿地のエントランスを演出します。そこをくぐると、また空が見え、前方には大きなデッキで覆われた玄関スペースとなるように建物を配置します。

駐車スペースをから続くパーゴラの下をくぐるようにして玄関に向かいます。両側には植栽スペースがあり、木々の間を抜けていくようなエントランスです。デッキの向こう側には明るい南の庭があります。玄関を入ると右手には南庭に面するようにLD、北の奥に台所を配置します。玄関の左手には裏動線を繋ぐように収納、洗面所、浴室、WCと続きます。二つの動線の合流地点に二階に続く階段を配します。

二階には各個室とクローゼットとし、南に居室が面するようにしています。階段から廊下を抜けると、屋外と屋内が入り交ざったような半戸外空間となり、見下ろすと一階の玄関まえの空間が見えます。そこは道路からの視線は植栽で遮られた屋外デッキ空間となっています。室内空間と室外空間を繰り返すことで内外部が心地良く混ざり合います。洞窟やテントで覆われた空間のように、壁などで完全に仕切られていなくても「室内」といえるような空間があります。もはや外部や内部といった概念とは関係無く、「包まれている」という感覚が自身の居場所である根拠となっています。住居の原型とはそのような感覚のものなのではないかと思います。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「外とつながっているか」ということがあります。

キッチンと外部空間がつながっているとさまざまな面でその作業性が向上します。毎回の調理で発生する生ゴミを処理しなければいけません。ただゴミ箱に捨てるだけでなくコンポストや、そのまま肥料として庭にまくこともできるものもあります。調理場からそれらの設置場所である外にすぐ行けるということが調理場を衛生的に保つためにも大事なことです。庭で栽培しているハーブや野菜などを調理にタイムリーに摘みにいけるということもできます。
収穫してすぐ調理、温かいうちに食べればこんなに美味しい食事はありません。

閉鎖型のキッチンの良いところは、独立していることにより調理の匂いや様子を遮断できると言うことです。半面、空間として孤立してしまうので、外部空間を上手に利用することによって閉塞感を緩和すると良いです。それには燦々と日光が降り注ぐ南側開口部より、落ち着いた明るさを保つ北側の開口部が向いていると思います。

 
作業スペースとして外部と適度につながっていれば、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

​一旦まとめ

これまで旗竿地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「外部空間」 について考察してきました。屋外空間を設計するということは季節、気候の心地よさや広がりを屋内空間に取り込むにということです。キッチンでも同様に、勝手口及び外部を整理することで作業性は高まります。

水まわりの配置からプランを分析

次に、旗竿地での提案プラン(4.5間×3間)を水まわりの配置の観点から分析します。玄関は南側で建物間口は4.5間です。南に玄関があり、南の庭に向けてリビングを配置し、北側と西側に水まわりをL字に並べ、一階と二階はコ型階段でつなげています。水まわりの構成は、玄関からの裏動線沿いに洗面、浴室、WCを配置し、階段をはさんでキッチンを配置しています。

このように配置すると、リビングから水まわり空間への視線を完全に遮断できます。また、回遊性のある水まわり動線を確保しやすくなります。半面、リビングダイニングなどの空間に視覚的な広がりを感じにくくなります。
 
旗竿地での提案プランは水まわり空間を閉鎖することを優先した配置です。

 

考察のおわりに

これまで「旗竿地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。

 

キーワードは「外部空間」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

 

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

case4(変形地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「変形地」です。
土地の区割りは矩形に近い形状であることが一般的ですが、道路などの周辺状況によっては変形地が発生します。
鋭角、鈍角を持ったこの敷地形状は
・矩形の建物を配置すると周辺に特種な形状の空地が残る
・狭小地の場合はプランニングに強い制限がかかる
・建築基準法上、高さ制限が建物の形状に大きく影響する
というような事が考えられます。

変形地ではこのような制限を建築的な面白さに換えることが大事です。敷地の形に建物の形を合わせたり、残った空地の形状を生かした庭造りをしたり、制限を受けることで湧いてくる発想を設計に取り込みます。結果、四角い空間では得られない奥行きや景色が内部空間にも現れます。キッチンや脱衣場などの作業空間では、ほんの少し角度の工夫でずいぶんと使いやすくすることも出来ます。同様に階段を昇りやすくしたり、廊下を窮屈に感じさせないことも可能です。「変形」であることを気付かせない設計が豊かな内部・外部空間を生み出します。

プランを作成

北側で道路に接道している変形敷地を想定します。
敷地面積は16m×13mで38坪程の広さです。

 

変形敷地では玄関までどのようにアプローチするかということが、建物の位置や大きさを決める上で参考になります。角度のついた無理やりな方法ではなく、敷地の変形を生かした心遣いが必要です。そして敷地の形状に添わせるように建物のボリュームを決め、変形した箇所をうまく設計に取り入れ、いかすように心がけます。道路側に駐車場と玄関入り口を設定します。

玄関付近の形状を整え、入って正面にはダイニング、半開上がったところにリビングを配置します。このメインの動線は敷地の形状を利用して階段の上り口の角度を開いているため、自然と上階へ誘導されるようになっています。また、玄関から洗面所から浴室へとつながる動線と玄関収納から台所へと向かう動線にわけます。台所シンク台の形状はL字より少し開いた形状となっていて使いやすく、無駄なスペースを削減しています。また、浴室の開口部も道路側に面していながら視線を遮れるようになっています。これらも敷地の形状を建物のそれに取り入れることで実現します。ダイニングの外のデッキから眺める庭は広がりを感じられるような角度となっています。

リビングは道路の高さより半階分上がっているため開放的で落着きのある空間となっています。各個室は棚の形状を工夫し、残りのスペースを使いやすくしています。

水平垂直に等間隔で交るモジュールは施工者の都合で決められた定規です。それがいつのまにか大量生産、コスト安定の為、様々な住宅建材に波及し、今ではその建材の寸法に合わせた家造りが一般的となっています。住宅設計者は材料の寸法ではなく、人間の大きさや行動を基準とした仕事をするべきです。それは住人にとっては心地の良い「変形」となるはずです。また、直角や直線で壁が構成されていない空間は、少しずつ視線が変化していくので緩やかに変化していく魅力があります。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「人が使いやすい形状をしているか」ということがあります。

 

キッチンなどの複雑な行動をする場所では、その動きに合わせた形状の調整をする必要があります。調理するためのスペースはもちろんのこと、冷蔵庫から取り出した材料をいったん置いておくスペースや作りかけの料理をねかしたり、下味をつけたりするのに置いておくスペースが必要です。作業をしている人を中心に手の長さで同芯円を描くとそれは最も効率よく道具や作業スペースを配置出来る範囲となります。既製品の決められた寸法だけではなく、人間の動きに併せた形状にすると良いです。

はの字型キッチンはシンクの形状として最も使いやすく、作業性の良いものと考えられます。L型キッチンと比べてコーナー部の作業台やその下の収納が使えないスペースになることも少ないです。また、作業スペースが広いので背面の収納棚や冷蔵庫の位置を工夫すれば、複数の人間が使うシンクの形状としても適しています。空間に合わせて自由につくれる反面、既製品では対応しづらいでしょう。

 機器やモノの形にとらわれず、人の作業を考慮した形状になっていれば、とても使いやすい居心地のいい食事を造る場所になります。

一旦まとめ

これまで変形地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「不規則性」 について考察してきました。不規則性を設計に取り入れるということは日常生活での人の自然な行動に合わせるということです。キッチンでも同様に、作業動作を分析して効率性を高めるには多少の変形は許容されます。

水まわりの配置からプランを分析

次に、変形地での提案プラン(5.5間×2.5間)を水まわりの配置の観点から分析します。
玄関は北側で建物間口は5.5間です。
北に玄関があり、南の庭に向けてリビングを配置し、玄関の両側に水まわり動線をわけ、一階と二階は分離階段でつなげています。水まわりの構成は、分離した動線にそれぞれキッチン、WCと洗面所と浴室を配置しています。

このように配置すると、玄関からのそれぞれの水まわり空間へのアクセスがしやすくなり、裏動線としての機能に優れます。また、それぞれに必要な収納スペースを適格に確保しながらも、キッチンスペースのダイニングとのつながりも確保しているので、空間の広がりも感じられます。半面、大きなスペースを必要とするので、狭小住宅には向かないでしょう。
 
変形地での提案プランは水まわり空間の使いやすさを最大に優先した配置です。

 

考察のおわりに

これまで「変形地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。


キーワードは「不規則性」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case5(傾斜地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「傾斜地」です。
丘陵地帯を宅地開発すると傾斜や段差のある敷地が発生します。
前面道路や隣地と高低差のあるこの様な土地は
・駐車場整備の為の前面道路との高低差解消工事や、がけ面保護の擁壁工事に多額の費用が発生する
・敷地内の水はけが良く、通風も確保され易い
・平坦な敷地に比べて景色が広がり易い
という様な事が考えられます。

傾斜地ではなるべく土地の高低差に建物の床の高さを合わせましょう。建設コストの削減は元より、高低差のある敷地との相対的な高さ関係を変えない事がその敷地の魅力を利用する事になります。高低差があるという事はつまりは視線の高さが変わるという事です。平らに整地して敷地の個性を無くしてしまうのではなく、視線の高さが変化する魅力を生かす設計が求められます。各部分で高さに違いが生まれれば外部に面した開口部が設けやすく、それにより通風確保や景色の広がりも期待できます。日々の生活の中で風景を見上げたり見下ろしたりする楽しみが傾斜地にはあります。

プランを作成

北側で道路に接道している傾斜敷地を想定します。
敷地面積は8m×17mで41坪程の広さです。

傾斜敷地では道路と接道している高さがメインのエントランスとなります。その高さにすべての高さを合わせると、膨大な量の造成工事が必要となってしまうので、敷地の高さに添わせるように建物のボリュームを決め、道路側に駐車場と玄関入り口を設定します。部分的に地下部分となったり下階の上にルーフデッキを載せたりとした、段々状の計画とします。

最上階となる1Fは玄関と寝室一つと付属の収納という構成です。南にデッキを設け、寝室とつなげています。各個室からデッキに出られるように各階に個室を振り分けています。

B1階は土地の傾斜に合わせて北側は地面に埋め込まれ、南のにデッキで開放しています。子供部屋を南にクローゼットを北に配置しています。1Fの玄関から続く階段で最下階にいたります。

B2階は南の庭に面してLDを、北側に水廻りを配置しています。道路側から最も離れた、地面に近い落着きのある空間になっています。

 

住宅の設計では各部の高さを適切に設定する配慮が必要です。作業台の天板や棚の高さは使い勝手に影響します。床や開口部、天井高などは内部空間と内部空間、内部空間と外部空間の繋がりに影響します。高さをずらすことで遮ったり、揃えることで広がりをもたせることができ、逆に、高さをずらすことで奥行を、揃えることで閉じられた空間構成も可能です。更には、歩いたり、座ったり、寝転んだりと視点の高さの変化も織り込むと重層的な空間になります。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「人が使いやすい高さであるか」ということがあります。

 

作業台の高さは台の上にまな板を置いて、食材を切る作業、コンロの上で調理をする作業をしやすい高さなどを参考に決めます。作業者それぞれに決まっている高さより低めに設定すると、硬いものを切ったり、大きなプライパンを降るのに楽になります。
高めに設定すると洗い物や盛り付けなどの軽作業が楽になるでしょう。また電子レンジは横から使うものなので設置の高さは胸位の高さにすると使いやすいです。シンク台以外に作業台を設けられる場合は二種類の高さを設定しても良いでしょう。

分離型のキッチンではシンク台の高さとコンロ台の高さを変えることができます。ダイニングに向いたシンク台は高く設定し洗浄や盛り付けのスペースとして、コンロ台は低く設定してフライパンを振りやすい高さにできます。また、シンク台では火を使わないので、上部の収納棚も工夫しながらダイニングテーブルと一体的に使えます。

作業の内容に合わせて各部が適切な高さになっていれば、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

これまで傾斜地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「高さ・低さ」 について考察してきました。高低差に配慮することは、空間相互のつながりを設計するということです。キッチンでも同様に、高さの設定は作業性はもちろん、キッチン内部の居心地にも影響します。

水まわりの配置からプランを分析

次に、傾斜地での提案プラン(3間×5.5間)を水まわりの配置の観点から分析します。
玄関は北側で建物間口は3間です。
北に玄関があり、段階的に降りた最下階の南の庭に向けてリビングを配置し、北側に水まわりをまとめ、各階は両側壁の直線階段でつなげています。
水まわりの構成は、キッチン作業台をリビングダイニングへ向け背面にコンロを配置し、その裏にWCや洗面、浴室を配置しています。

このように配置すると、キッチンとリビングダイニングが一体的になり、その他の水まわり動線も簡潔にまとまります。また、水まわり全体をコンパクトにまとめるということにも重点をおいています。
半面、キッチンの様子が開放的であるので作業台の整理整頓に対する工夫が必要です。
 
傾斜地での提案プランは水まわりの閉鎖(浴室)と解放(キッチン)の両方を実現した配置です。

考察のおわりに

これまで「傾斜地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。


キーワードは「高さ・低さ」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case6(細長地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「細長地」です。
「うなぎの寝床」とも比喩される、間口が狭く奥に細長い敷地は昔ながらの人口過密地域の土地の区割です。京都の中心部や大阪の下町では今も色濃く残っており、
・隣家同士迫って建てられているので通風や採光確保の工夫が必要
・敷地、奥まれば前面道路の影響が小さくなる
・地域柄、景観条例の規制がかかるケースが多い
といった特徴があります。

三方を隣家に囲まれているような細長い敷地は住宅地の条件として良いといえません。暗く、ジメジメとなりがちであるが、先人達はその住宅密集地に住む為に中庭や千本格子、通り庭等の工夫を重ねてきました。それらはすべて屋内空間に外部空間を取り入れるための工夫です。細長地の価値は「室内へいかに外部空間を演出できるか」で決まります。又、近年の建て替えがすすむにつれ、「町屋」の代わりに駐車場の奥に建つ、細高い三階建が目立つようになりました。正面の「顔」を大事にしてきた京都の街並みが変わっていきます。

プランを作成

南側で道路に接道している細長敷地を想定します。
敷地面積は5m×24mで36坪程の広さです。

このような細長敷地では一階部分の採光や通風が確保しづらいので今計画では二階にリビングダイニングなどの共用スペースを設けます。玄関も二階とし、駐車場を覆うデッキの先に明るい外部階段を設け、一階部分へは簡易な入口をしつらえます。建物のボリュームを決め、どの空間からも採光や通風が確保できるように所々に外部(坪庭)を挿入します。

周辺からの採光を期待できないので、所々に設けた中庭に面するように1Fには個室を配置します。また、南北の通風を確保するために窓の位置を揃えます。南の階段は屋外階段とし、外部から直接2階の玄関やデッキに繋がるようにします。北側の階段は補助的な階段として設け、プランに回遊性を持たせます。

2Fには水廻りやLDを配置しますが、それらもそれぞれ中庭に面するように配置していきます。建具でシンクを隠せるようにした、台所の一部を通路として利用しており、南のリビングと北のダイニングをつないでいます。

住宅設計では通風・採光を確保することは最低限の要請です。それは単に各部屋に開閉のできるガラス窓を設けるということではなく、好ましい外部環境を室内に取り入れるということです。隣家の迫った敷地では天窓や坪庭を造って、室内に自然光や風を呼び込みます。季節ごとの太陽の昇る角度や風の向きを考慮した設計で、夏の直射日光や冬の季節風は防ぎ、春のそよ風は吹き抜けるようにします。通風・採光を確保するということは、外部環境からの影響をコントロールするということなのです。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「適切な空調環境・作業設備が整っているか」ということがあります。

 

まずひとつに換気の問題があります。調理をすると必ず匂いが発生します。その匂いを上手に排出するためには、換気扇の近くに外気とつながる開口部があると良いです。手元の開口部や照らす照明器具の位置も作業者によって手暗がりのならない様に配置します。天窓やキッチン通路の真上の器具ではシンクで作業している手元を照らせないでしょう。電源なども適切な位置に適切な容量のコンセントを設置するべきで、炊飯器をガスか電気にするか、電子レンジやミキサーなど大電源を使うものはどこに設置するかもしっかり計画しましょう。

開閉式の建具などで隠せるキッチンはその開け閉めによってその他の空間と隔離することができます。
そうする事で調理で発生した匂いを閉じ込め、収納の為の建具を省くことができます。また、狭小空間では通路部分を廊下として利用できます。隠せることによって、調理設備の選択も機能に特化することができ、コストの面でも有利となるでしょう。

 きもちの良い作業環境を保つことができれば、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

これまで細長地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「通風・採光」 について考察してきました。通風と採光が適切な設計は自然の力により空気環境を整えるということです。それは何物にも代えがたい心地よさであり、キッチンでは衛生を保つ為にも必要です。

水まわりの配置からプランを分析

次に、細長地での提案プラン(2間×7.5間)を水まわりの配置の観点から分析します。
玄関は南側で建物間口は2間です。
南の二階に玄関があり、中庭に向けてリビングを配置し、二階廊下沿いに水まわりをまとめ、一階と二階は外階段でつなげています。水まわりの構成は、廊下の一部に収納可能なキッチン、廊下に隣接する中庭に向けてWCや洗面、浴室を配置しています。

このように配置すると、必要な時だけ引き戸を開放してキッチンを使うことができます。また中庭に面した浴室は外からの視線を気にする必要がありません。半面、廊下という通り道が作業スペースになるので、キッチン使用時の猥雑さは否めません。
 
細長地での提案プランは省スペースで水まわりを収めることを優先した配置です。
 

考察のおわりに

これまで「細長地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。

キーワードは「通風・採光」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case7 (広大地)

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「広大地」です。
100坪を超えるような大きさの敷地は郊外でも都市計画区域からはずれたような地域に多いのですが、
・敷地境界があいまいであるケースが多い
・当然に通風採光条件が良い
・周辺の生活インフラが整っておらず、日用品の購買にも苦労が伴う事もある

この様な広い土地に住むということは家という室内空間だけでなく、「地面全部でどのように住む」かという事が重要になります。畑や果樹園、ハナレやアズマヤで敷地全体に居場所を造っていくと「大きな家」ができます。雨風をしのぐ、防寒や寝起きの為のスペースは最小限にとどめ、碁石を置くようにテリトリーを定めて空間を見切ります。そのようにして景色を創る事ができるのが広大地の一番の魅力です。屋根のないという事はとても気持ちの良いものです。

プランを作成

南側で道路に接道している広大敷地を想定します。
敷地面積は20m×20mで120坪程の広さです。

土地全体をどのように使うかを見定め、建物の建っていない余白部分を大事にしながら建物のボリュームを決めていきます。敷地奥をプライベートゾーン、手前をパブリックゾーンと大まかに分け、道路側には駐車場とエントランスを配置し、敷地中心に大きな庭ができるように建物を配置します。

平屋で構成された今回のケースでは各室の特性の本質を見極め配置してく事となります。このような大きな敷地では明確な玄関は必要なくなります。敷地に入って見えてくるのは土間のリビングキッチンなどのような部屋がよいでしょう。デッキスペースでつながったダイニングは屋外にソファーを置く計画とし、洗面やトイレも通り抜けができるようなおおらかさがあってよいでしょう。寝室となる各個室は真ん中の大きな庭空間とは逆の方向に開くことでプライバシーを保ちます。これらを外部デッキでつなげてあげれば、小さな空間が寄り集まった、大きな家が出来上がるでしょう。

 

敷地と建物との関係上、敷地には明確に用途が決まっている部分とそうでない部分があります。設計とはその用途、デザインや寸法を決めるだけではなく、何も決まっていない「余白」とどのように関わるかということが大事です。それはつまりは建物本体や駐車場、玄関まわりのアプローチなど用途のある部分と、敷地全体さらにはその向こう側の環境とのバランスを図るということです。俯瞰した視線で思考をめぐらせ、全体として調和させる意思が景色や街並みを生みます。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「それぞれの作業スペースをどの様に配置するか」ということがあります。

 

調理作業はまず食材を用意して、洗い、下ごしらえをし、加熱調理するという順番が基本となります。
料理によっては下ごしらえに手間のかかるものや、煮込み料理の様に加熱調理に時間のかかる料理もあります。最後に調理器具や器を洗浄して収納場所に戻すというのが一連の動きとなります。それら数種類の作業をタイミング良く行い、食卓に料理を運ぶまでの時間差を調整しながらそれぞれが同時進行で行う必要があります。それには、シンク、作業台、コンロ、冷蔵庫のそれぞれの位置を正しく配置する必要があります。

シンク食卓一体型の土間キッチンは食卓部分を作業スペースとして、大勢で囲む様に作業できます。この様に大人数の調理の場合は加熱調理スペース(コンロ)をシンク作業スペースと分けると安全で使いやすくなるでしょう。また、床面の汚れも掃除がし易いので、作業スペースの配置と大きさが適正であれば、パーティーなどでも使えるでしょう。

作業スペースを適正に配置できれば、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

これまで広大地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 「建物の配置」 について考察してきました。設計する上で建物の配置を決めるということは敷地全体の使い方を決めるというです。キッチンでも同様に、シンクやコンロ、収納などの配置が使いやすさを決めます。

水まわりの配置からプランを分析

次に、広大地での提案プランを水まわりの配置の観点から分析します。玄関という特定の入口はありません。それぞれの部屋をそれぞれ適した位置に配置し、外廊下や土間などでつなげています。水まわりの構成は、土間キッチンをリビングダイニングの一部に配置し、WCや洗面、浴室を敷地の奥に配置しています。

このように配置すると、それぞれの水まわり設備に適した環境をつくる事ができます。またこのように分棟式の水まわりにすると外部からも使用しやすくなり、用途範囲が広がります。半面、防犯や一般的な使いやすさは犠牲になります。
 
広大地での提案プランは水まわり空間と外部空間とのつながりを優先した配置です。
 

考察のおわりに

これまで「広大地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。


キーワードは「配置」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case8 (都心地)

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「都心地」です。
このコラムでは大きな国道沿いや商店街に面した敷地など、前面道路から強い影響を受ける敷地を都心地と呼びます。
・深夜におよぶ騒音や明かりや臭いによる問題が発生しやすい
・前面道路の交通量が多く、また防犯の面でも安全管理が必要となる
・その住宅敷地としての条件に反して、土地の価格帯が高い
ということが考えられます。

この様な敷地は地面から離れて上階に住むという集合住宅計画が適しており、実際もそのように敷地利用がされています。また、敷地前面をコンクリートの塀や生垣などで覆った上で、中庭をつくり開口部を設けることにより通風採光を確保する方法もあります。つまりは前面道路からの隔離、遮断ということです。住まいとしては風通しや日光など、心地の良いものだけを室内に取り入れるという考え方でもよいのですが、拒絶するだけでは外部との良い関係は築けません。「都心地」であるほど外部とどのように関わるかが大切です。大通りに建ち並ぶマンションのそれぞれに小さな緑地や自由に使える空地でも備われば、都市部の景色も変わるのではないでしょうか。

プランを作成

西側で道路に接道している都心敷地を想定します。
敷地面積は8m×15mで36坪程の広さです。

一般的な敷地よりも通行量の多い道路側が駐車場と玄関入り口となるので、対策が必要となります。塀などで隔絶してしまうのが簡単な方法ですが、ここでは中庭を利用し、建物内部の生活が影響を受けないような外部空間とのかかわり方を検討します。また、道路境界から程よい距離を保ち、道路側に圧迫感を感じさせないように建物のボリュームを決めます。

一階部分は玄関を介して外部と中庭が視覚的につながるように開口部の大きさを決めます。外から見るとまるで道路歩道部分から玄関を介して中庭まで繋がっているように見えるでしょう。玄関からは左右に動線を分け、北回りの動線には水廻りを、南回りの動線にはLDを配します。キッチンは外部からは中庭や階段で一旦、視線が遮断されるように工夫しています。また、光だけは通り抜けるように、キッチン東側にも中庭の開口部を同じサイズのものを配置します。

二階部分は玄関上部と台所上部が吹き抜けとなるようにしています。これは道路側から見てより、中庭との一体感が生まれるようにする為です。階段と中空廊下だけがその中を通っているように見えるでしょう。北と南に各個室をクローゼットを配置します。内部の生活を守りながら外部との関係を築くには、遮るだけでなく宥和する姿勢が必要です。権利を主張し遮断するのではなく、建築が正しい姿勢でおおらかに構えていれば、その佇まいはいずれ周辺環境にも良い影響をおよぼします。家の中の生活が路地に感じられる心地よさが再認識され、人々が節度を持って行動するのが当たり前になれば、もはや外部は遮るべきものではなくなるのかもしれません。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「キッチン空間をどこに配置するか」ということがあります

 

食事をつくるという行為は時代ごとに捉えられ方が変わってきました。用途ごとに空間を区切り、行為を限定してしまうのではなく、行為に合わせて空間の使い方を決めるという考え方をすると、「つくる場所」と「食べる場所」を区切るのではなく、「食事」を楽しむ空間が必要である、ということがわかります。景色のよい上階に食事空間を配置することは食事を楽しむ上で大事なことでしょう。主婦であれば食事をつくりながら、育児もしなければならないでしょう。なるべくコンパクトなスペースで食事を済ませるという考え方もあるでしょう。屋外で食事をするのも楽しいでしょう。どんな空間に付随しているかで、キッチン空間の用途は決まるのです。

ダイニング一体型のキッチンでは食事をつくる行為と食べる行為は一連の行為となります。食事をつくるという行為は厨房機器の発達した現代では負担が軽減した分、レクリエーションとして捉えられるようになりました。さらには食卓部分の周りが緑で囲われていたり、吹き抜け空間と組み合わせることで「食事」という行為を五感で楽しめる空間となります。

隣接する空間が適正であれば、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

これまで都心地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素である 外部との関係性 について考察してきました。外部からの影響、外部への影響を考慮し、建物が社会とどのように共存するか考えるということは街並みを設計するということです。キッチンでも同様に、食事をつくる行為がリビングやダイニングなどの用途と結びつくことで楽しみ方が変わります。

水まわりの配置からプランを分析

次に、都心地での提案プラン(3.5間×5間)を水まわりの配置の観点から分析します。
玄関は西側で建物間口は5間です。
西に玄関があり、建物中央の中庭に向けてリビングを配置し、玄関につなげて北側と東側にぐるりと水まわりをまとめ、一階と二階はL型階段でつなげています。水まわりの構成は、テーブル一体型キッチンをダイニング中央に配置し、玄関からの裏動線沿いにWCや洗面、浴室を配置しています。

このように配置すると、中庭空間とリビングダイニング、キッチンが一体でつながると同時に、水まわり空間への裏動線も回遊性を確保できます。キッチン空間だけを開放的にするには最も適しています。
半面、調理時に発生するにおいや汚れに対する対策が必要となります。
 
都心地での提案プランは水まわり空間(キッチン)とリビングの一体性を優先した配置です。
 

考察のおわりに

これまで「都心地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。
 

キーワードは「外部との関係性」ということでした。各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case9 (古家付き地)

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「古家付き地」です。
既存建物を敷地「条件」の一部として考え、改修し、住まうとすると
・躯体の状況によるが、一般的には工事費を安く抑えられる。
・既存建物の形や開口部の位置にある程度制限をうける
・分譲マンション等の集合住宅形式では、上下水配管やガス管などの設備配管の耐久年数が問題となる
というような事を考慮する必要があります。

現在、住宅を改修するという行為は「新しく見えるようにする」と定義づけられているように思われます。それは古いものを新しいもので覆い隠すという事であり、日本の木造建築文化に由来する「古びて朽ちていく」思想に対するネガティブな反応の現れに思います。また、あらゆるものに耐久性を求める日本人特有の勤勉性により、劣化したものに抱く嫌悪感も影響しているのでしょう。日本の住宅価格やその性能、環境への負荷を考慮すると、住まいを「改めて修めるということ」の定義を考え直す必要があります。それは時間が経過する事で古びたものに手を加え「変換」する事による新しい価値観の創造を意味します。古着を直して新しい組合せで着こなすように、住まいも古さに価値を見い出す試みがあっても良いのではないでしょうか。

プランを作成

東側で道路に接道している古家付敷地を想定します。
敷地面積は12m×10mで36坪程の広さです。

敷地には一階にダイニングと和室、水廻り、二階には3部屋と収納のある古家があります。建物の形状や構造部分を変更せずに新しい間取りを作ります。
また,上下階をつなぐ階段部分を変えずにその繋がり方を工夫します。個室の大きさを小さくし、その分吹き抜けや収納室を増やして、現代的な間取りに変えます。

玄関の位置をそのままに、水廻り諸室を両側に配置します。片方は前浴室部分の基礎形状を利用した玄関収納を通ってWCと洗面、浴室に繋がります。反対側には前和室であった部分にパントリーを挟んで台所を配置します。柱の位置を検討しながら玄関正面の廊下を動かし、通路両側には収納スペースを設け、奥にはキッチンシンクを取り除いたリビングダイニングとします。洗面所は奥行寸法を調整して収納スペースを確保しています。台所はL字形状とし、冷蔵庫の位置も含めて作業動線に配慮しています。リビングダイニング上部には吹き抜けを設け、西日対策をした上で大きな開口部を設けます。

階段を回り階段に変更し、吹き抜けに挟まれた廊下の奥に開口部を設け、開放性をもたらします。廊下の両側には各個室、寝室とクローゼットを配置し直します。

建築物は永続的なものではありません。ですが、手直しをし、時代に合わせてその用途を変化させていくことで永続的に使っていくことができます。そのようにして永く使われた建築物には人間の生活の記憶が残されます。そして街並みともなれば、それは人々が時代を経て作り上げた一つの価値観を提示することになります。様々な知恵や経験の踏襲された人類の財産となります。「造る」ということは「存在していく」という事なのです。

食事をつくる空間について考える

毎日の食事を作る空間に大事な要素のひとつに
「メンテナンスがしやすいか」ということがあります

 

キッチン空間というものは、様々な設備機器や家具が組み合わさって構成されています。それらを使い続ける為には設計時に様々な事柄について想定しておく必要があります。コンロやレンジフードなどは故障の場合には交換出来るようにし、家具類も汚れの対策を考慮された材料を選ぶ必要があります。メンテナンス性が良いということは、掃除もしやすいということでもあります。上下水道の配管は外部桝の清掃をすることが重要なので、桝の位置もその事を考慮する必要があります。

L字型キッチンはコンロ部分独立させることにむいた形状です。両側を壁で仕切り、上部を囲う様にフードで覆うことで油を含んだ蒸気がキッチンに蔓延するのを防ぎます。シンクや作業スペースからも使いやすい形状なので、コンロが孤立することなく、キッチンを清潔に保ちやすいメリットを最大限にいかすことができます。

 メンテナンスがしやすければ、とても使いやすい居心地のいい食事をつくる場所になります。

一旦まとめ

これまで古家付き地の敷地特性に注目して住宅設計の一つの要素であるメンテナンス性について考察してきました。メンテナンス性を考慮して設計するということは建物の永続性を高め、環境への負荷を軽減し、何より次の世代の人に大事に使ってもらえるものをつくるということです。キッチンでも同様に、掃除のしやすさや設備交換時への配慮は重要です。

水まわりの配置からプランを分析

次に、地での提案プラン(4間×3.5間)を水まわりの配置の観点から分析します。
玄関は東側で建物間口は3.5間です。
東に玄関があり、南の庭に向けてリビングを配置し、玄関両側に水まわり動線を分け、一階と二階は回り階段でつなげています。水まわりの構成は、玄関から分かれた南側にキッチンを、北側にWCや洗面、浴室を配置しています。

このように配置すると、閉鎖性の高いキッチンにより多くの収納部を設けるのと同時に回遊動線も確保することで、通風も確保しやすいです。また、WCや洗面の入口も回遊動線に組込めれているので、こちらも収納を確保すると同時に玄関からの視線を防げます。半面、玄関両脇を水まわり諸室が占めるので、リビングに向かうまでの間に圧迫感が生じてしまいます。
 
古家付き地での提案プランは水まわりスペースの豊富な収納量を優先した配置です。
 

考察のおわりに

これまで「古家付き地」の敷地条件をもとに、様々な角度から「住まう」ということについて考察してきました。


キーワードは「永続性」ということでした。

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

 

case10 (分譲地)

 

家を建てるには土地が必要です。
皆さんはその土地をどの様に選びますか?

一般的な条件には
1.通勤や通学、その他の生活の利便性
2.風通しや日当たり、近隣住民などの周辺環境
3.広さ
4.上記の条件を基に決まる土地の価格
があります。

このコラムではこれらとは違う観点から「土地の価値」について考察します。

敷地は「分譲地」です。
もとは畑や田であったような広い土地を整地し、均一に区画した敷地を分譲地といいます。
特徴としては
・敷地の広さやそれぞれの日当たり等が「均一」であるのが最大の特徴
・住宅地として形成されるので、道路や公園などの周辺都市施設が整備されている
・同条件で建築される為、似たような家が立ち並ぶ

「分譲」を目的として整備された土地というものは、比較的贅沢に敷地条件が整っています。


広さが広くて形も良く、接道道路も大きく、隣地境界にはブロックやフェンスで境界明示までされています。つまりは分譲地とはその好条件により、外部の要素に頼る必要のない「独立した敷地」であり、その中で住まいも完結してしまいがちでしょう。反面、住まいというものはいかに外部の要素を転換して内部に取り入れるかが重要な要素となります。明るさや暖かさはもちろん、暗さや寒さ、狭さ等の悪条件まで心地よさに転換して取り入れることで初めて彩りのある住まいとなります。そのような意味で分譲地は設計条件の悪い敷地と考えられます。多くの住宅敷地がこの分譲地にカテゴライズされる日本では結果、街並みというものがそれぞれの「独立した敷地」によって分断されてしまっています。「分譲地」に住まうということは「隣の敷地、若しくはその又隣の敷地とどのように繋がるのか」という要素を加えた上で完結しすぎない家造りを目指すべきではないでしょうか。

考察のおわりに

各敷地での考察をまとめると、住宅設計の手法がみえてきます。

 

まずは敷地の周辺環境を観察し「外部との関係性」を整理します。次に敷地のどこに建物を「配置」するのかを考えます。地面まで含めた、各部の「高さ・低さ」を調整し、「外部空間」と内部空間が融合するようにします。「開口部」でより繊細に空間を加工すると同時に「通風・採光」を確保します。全体を見回して「不規則性」を必要としている箇所を見つけ、仕上げに「正確な寸法」で整えます。普遍的で「永続性」のある住まいとなるでしょう。

どんな条件の敷地であっても有効な考え方です。

「経堂Apartment」にてこれまでの考察をもとに具体例として発表しています。