工事進行記録(自邸改修)
築35年のマンションを改修工事した時に感じたことを工事の進捗状況とともに記録しています。
[1] はじまり

マンション改修計画の工事記録です。
自邸の改修計画なのでいつもの仕事とは少し違った視点から記録をするつもりです。
工期は二ヶ月、広さ100㎡、予算は1000万です。
今日から解体作業が始まっています。
[2] 解体作業の様子

一軒家の解体とは違いマンションの内装解体は、それぞれに分別し少しずつ運び出します。
エレベーターや廊下をよごさないよう養生し、住 人や管理人の目を気にしつつ、作業を進めています。
そのような姿をみて代金を値切らなくて良かったと感じました。
[3] 今計画について

妻と息子の三人家族です。
水廻りは脱衣室をキッチンと浴室で挟み、一列に並べます。
玄関から玄関収納兼クローゼットを介して寝室と繋ぎます。
L型に残ったスペースはリビング、ダイニングとしてつかいます。
外に広いベランダがあるので、そことのつながりを大事にしています。
[4] 解体作業終了

すっかり全部無くなりました。
古いマンションなので所々上階の配管がむき出しになっています。
下階になるほどこれらの本数は増えていくのでしょう。
実際の寸法と図面を見比べて誤差を修正します。
リフォームの設計はこの瞬間が一番緊張します。開けてびっくりすることもよくあります。
[5] ベランダ

60m²くらいのベランダが西側に、南にも奥行き1mのベランダがあります。
5階建ての4階部分ですが、道路斜線のセットバックの為このような外部空間が出来たのでしょう。
向かいが小学校の駐車場なので視線も少なく、もっと緑を増やせば快適なスペースになるでしょう。
中古物件としてこの部屋を購入した一番の理由です。
[6] 墨つけ

躯体に壁の基準線を描いています。
梁が邪魔して給湯器が入らなかったり、トイレの配管の方向に問題があったりと、解体後判明したことで図面を修正しながら最終的に基準線を決めます。
リフォームの設計は開口部がきまっていたり、配管の位置がきまっていたりと、設計条件が多いので物事を決定しやすいです。
でも時々それらの条件をグリッとずらしてみると面白いものができます。
[7] 現場で決める

外壁の室内側に断熱材としてウレタンフォームが施工されていました。解体して開けてみないと分かりませんでした。
リフォーム設計ではこんなこと一つで詳細部分の寸法が影響されていきます。
なので設計段階では細かい寸法は決めずに、現場で納まりを考えます。
即興的な楽しみです。
[8] 水廻りの位置

マンションの改修計画ではとかく浴室や台所等の水廻りの配置や大きさに強く制限を受けます。
それは全棟を貫いている「配水管」の位置を変更することが出来ないからです。
さらに見逃されやすい注意点としては「排気口」の位置です。
水廻りということは基本的には換気排気の必要があります。
[9] 壁下地施工

基準線に基づいて、内壁の壁下地が施工されています。
まずは主要となる間仕切りの壁下地をおこし、それから周辺の細かい寸法を割り出していきます。
これでそれぞれの部屋の大きさが確定されたので、家具やキッチン台の天板が発注されます。
リフォーム工事は現場で寸法を確認しながら進みます。
[10] 浴槽搬入

浴槽が設置されました。
マンションリフォーム工事では大きな部材や材料の現場への搬入経路を考慮する事は大事です。
マンションの入り口から、廊下、階段、エレベーター、部屋の入り口まで考え、内装の壁も奥に運び込む部材の大きさを考えて工事をすすめていかなければいけません。
この浴槽は本当にギリギリでした。
[11] 配管接続

浴室廻りの上下水配管を接続しています。
リフォーム工事では既に他世帯の排水管が室内を通っているため、計画においてその配管を考慮するの はもちろんのこと、工事中もその配管は使用されているので接続にも気をつかいます。
手順を間違うとあふれてきます。
[12] 電気配線工事

給排水配管工事と並行して壁内や床下の配線工事が進んでいます。今回の計画ではコンセント及び照明スイッチの数を可能なかぎり減らしています。用途を想定していないものは一つもないくらいに減らしています。
プレートが目立つこともなくなり、工事費用も安く抑えられます。
今後、この部屋は住宅兼モデルルームとして使うので、これで十分生活が出来るということが示せれば良いと思います。
[13] 床下地

マンションのような集合住宅では下階への騒音対策が必要です。
今計画では写真のように置き床式の床下地を組んでいます。
24mm厚の合板の下には30cm毎にゴムを干渉材とした支持金物を配し、床全体を支えています。
下階への迷惑を心配しなくてもよいということは住み心地の良さにつながります。
[14] 床仕上げ

床仕上げには杉を張っています。
白太なので明るいのですが、床塗装をし日が経つとやけて飴色になってきます。
壁の左官材や天井のベニア材は濃い色合いなので全体としては重心の低い空間になります。
[15] 玄関土間下地

玄関及びそこから繋がる玄関収納の土間下地のモルタルの写真です。
来客は玄関から玄関収納を通って西側の大きなベランダに出られます。
玄関の内側には引き戸の網戸を仕込みます。
マンションの上階は一般的に風通しが良いので、このように玄関を開け放てるようにする工夫はとても大事です。
[16] 家具製作の依頼

愛知県豊橋市にある家具工房まで家具製作の依頼をしてきました。
その工房は空間に合わせて一品ずつ製作しているので、今改修計画の図面、模型、スケッチを渡し、部屋の雰囲気 を説明します。
予算と色の好みを伝え、ダイニングセットとソファーの製作を依頼。
良いものを造ってもらいたいので余計なことは言いません。
[17] 玄関網戸

玄関の内側に網戸を引き込めるように細工しています。
プランによっては玄関戸での風通しは重要になります。
そしてそのような場合は使わない時は邪魔にならないように網戸は必ず引き込めるように計画します。
[18] 玄関土間建具

玄関収納側から玄関との間を仕切る内建具の枠です。
ここには、暗い玄関を開口部のある玄関収納の明かりでてらせるように、強化ガラスのはめ込まれた建具が納まります。
開けているときは一体空間となるように背の高い建具としました。
2m35cmあります。
玄関を入ると大きな光の壁となるように計画しています。
[19] リビングの開口部

西側の既存開口部を使って新しいリビングの開口部にします。
そこには木製框の引き戸が三枚納まります。
外側から一枚目に日よけのルーバー戸、二枚目にステンレスの網戸、一番室内側にはガラス戸が納まります。
それぞれ壁の中に引き込んでしまえば、大きな開口になります。
子供が腰掛けられるような高さに敷居の高さを合わせているので、少しまたいで外に出ることになります。
この「少しまたぐ高さ」というのが室内に安定感をもたらします。
[20] 床張り

リビングの奥から張ってきた床板がついに玄関まで到達。
マンションリフォーム工事の場合は一度床を張ってしまうと床下空間の手直しが出来なくなるので、配線や配管を注意深く確認しながらの施工となります。
写真に写っているのは框といって床の最後を留める部材です。
床が張られるとやっと人が住めるような雰囲気になってきます。
[21] 南側開口部



